Washington,D.C.の旅 -Part 1-   (2002/12/28)




 「今年の年末年始は9連休」

 このことを確認した9月末頃、年末から本格ツアー開始となるSOIアメリカツアーを見に行くことが私の中で現実味を帯びてきた。

 とりあえずWashington公演のチケットを押さえ、続いてフライトの手配。ちょうどこの頃から年末年始の格安チケットが出回り始めるのだけど、少し出遅れたのか、希望のプランはもうキャンセル待ちも受け付けない状態。格安チケットのデメリットは、日にちが近づかないと便が確定しないことである。調べ直すと、格安チケットよりメチャクチャ高くもない値段で正規割引チケットがある。日本からの直行便が停まるDulles Airportはダウンタウンから離れているので、ダウンタウンまで地下鉄で行けるNational Airportに到着する乗り継ぎ便を選択してみた。

 ここまで手配した後になって、1日前のBaltimore公演もWashington,DCから1時間ほどで行けることがわかり、到着日だけど飛行機の時間を考えても間に合いそうなのでチケ手配。(ここで変更料2万円払ってでもBaltimore行きにフライトの変更をすればよかったのだけどこの時は気がまわらず^^;;;)

 Washingtonの宿は高いという定評がある。とはいえ観光地ではなく、クリスマスも過ぎコンベンションも会議もないオフシーズンということもあって「泊まる宿がない」という事態にはならず、順調に予約完了。どんなもんかなーと、前から興味のあった「B&B」(「もみじまんじゅうっ」…て通じる人が何人いるのか…^^;;;)というのにしてみました。

 さて、ここまでは割と順調にすすんでいた旅の準備。職場でも年末休みをどう過ごすかが話の箸休めに出てくるようになってきていた。そんな時だった、Washingtonで連続狙撃事件が起きたのは。
 ほぼ毎日のように海外ニュースで報じられる事件の続報。ガスステーションでの給油中や交差点での信号待ちの時ですら狙撃された人も出る有様で、複数の被害者に関連性はなく、どうやら無差別に狙われている模様。被害に遭わないよう、給油中は物陰に隠れて、信号待ちも建物の陰に隠れたり、一箇所に立ち止まらないようにしたりなど、街の人たちのインタビューがテレビからは流れていた。

 そんな状態の11月末頃、出張に職場の別の部署の先輩と出かけた帰りの電車での会話。

「Eさん、年末のお休みはどうするの?」
『ええ、ちょっと旅行に』
「まぁ、どちらにお出かけ?」
『ええ、あの、アメリカに(そろそろ次の話題にいきたいなー)』
「アメリカのどちらに?」
『(なんでそこまで聞くんだよ〜)あの、ワシントンです…』

「まぁ〜、大丈夫?」

 狙撃事件が起きてからというもの、心配されるようになってしまいました、私の旅(;_;)。しかも親に年末の予定を聞かれて、うっかり正直に答えたら「あんたはバカ!と言われる始末(爆)。
 いいわよ、バカで。ごめんね、あなたの子はバカだったのよ。あきらめて(爆)。せめて保険はかけていくから(狙撃されても保険金出るんでしょーか?)。

 結局12月に入ってから狙撃容疑者もつかまり、アメリカへの旅行客に対してスーツケースの鍵をかけない(ベルトは可。鍵がかかっていた場合、チェックでひっかかった時には鍵を壊して開ける場合もあるため、鍵は開けておくようにとのこと)などの渡航注意が出されるなど、いよいよ出発が近づいたある日、急にお腹が痛み出した。
 胃のあたりがどうにも刺しこむ。仕事を早退し近所の病院に行くと「急性胃腸炎」と診断された。

 この日は夜、スーツケースを空港宅配が取りに来ることになっていたんだけど、年末で患者が多いのか会計からまったく呼ばれない。診察から1時間たってやっと呼ばれて会計をしたところ、なんと私が預けていた保険証を紛失してしまっていることが発覚! しかも受付は私から保険証を預かったことすら覚えてなかったのだ。「預かってない」と言いはるけれど、こちらは確かに預けたのだ。おおかた別の人に渡してしまったのだろう。保険の種類はカルテに控えてあるはずなのだから、午後に診察を受けた患者の中から、私と同じ種類の保険を使っている人を探すことはそう難しいことではないのでは? どうにも動きの鈍い受付に、調べて連絡するように言い渡し、急いで帰ると、今まさにスーツケースの引き取りが来たところだった。ギリギリ間に合った〜。
 その後しばらくして医院(そう、大病院ではない、街中の診療所だったのだ)から連絡があり、「自分の保険証ではない」と連絡してきた患者がいたそうで、その人が明日医院に持ってきてくれるから、“取りに来て欲しい”という。

 …ハァ? 何様だ? 個人情報が書かれた、身分証明にもなる公的書類を紛失しておいて、「取りに来て」とは。たいして遠くはないのだからそちらこそ届けに来るべきだろう。こっちだって明日も仕事だ。そんなに暇じゃないぞ。間違えて渡されてしまった人のところにも、本当なら医院側が取りに行くべきだろうに。
 怒り心頭のわたくし、当然、そのとおり伝えました。結局、封筒に入れてポストに入れてもらうことにした。もう二度と行くものか、こんな医者!

 こんな次第で気分を害され、出発前からバタバタしたけど、とうとう私の胃は良くならないまま出発の日を迎えることになってしまった。…態度も悪ければ処方した薬も効かないって、やっぱりダメ診療所だったのだね。医者だってサービス業だと思っているわたくし、この医者は×と覚えておきます。

 体力的に微妙だったけれど、行きたい気持ちのほうが勝っている。空港へは順調に到着、チェックインカウンターを見るとガラすき。それなら荷物をピックアップする前に何か食べようと思い、軽くうどんでもと食べてたのはいいのだけど、年末の空港の込み具合を私はよくわかっていなかった。荷物を受け取ってカウンタに戻ってきたら長蛇の列。とりあえず最後尾に並んでみたものの、進み具合は芳しくない。そのうちスタッフが出てきて、「○○便に御搭乗のお客様、いらっしゃいましたら優先的にチェックインをいたしますー」と言うではないか!
 はーい、はいっ、はい! 私ですー(泣)。
長蛇の列はだいぶ進んでそれでもあと10人くらい前にいたけれど、私より前に並んでいて名乗り出る人はいなかった(爆)。エグゼクティブカウンタから通してもらい、すぐ出国審査を受けるよう言われる。しかもこの時ようやく分かったのだけれど、私が乗る予定のNWの駐機場所って、ターミナルを延々歩いた一番端! 「遠いですのでお急ぎください」とのこと。ヒエェ。うどんなんか食べてる場合じゃなかったよ(爆)。でも私の後にもまだ数人慌ててた人がいたから、乗り遅れても道連れはいるわけね(爆)。

 出国審査は思いのほかすんなり通れて(Gotta Danceのバンクーバー行きよりよほど早かった)、免税には見向きもせず延々歩く。途中で飲み物を買って、搭乗ゲートに到着。ヲヲ、どうやら普通に間に合った模様(^^;;;。

 機内では胃の気持ち悪さとの戦いだったけれど、夕食後数時間たった合間に出されたホイップアイスクリーム(ストロベリー味だったかな。ニュージーランド製でした)はおいしく食べられた。行きの機内食に何が出たか、映画は何があったかなど全く覚えていないけれど、このアイスだけはなぜか覚えている。

 そんなこんなで、日本を飛び立った後、乗り継ぎ地のDetroitには定刻から10分遅れで到着。ここで入国審査をするのだけれど、アメリカは9.11以降厳しくて、金属探知機を通る前に履いてたブーツを脱がなきゃならない。そんなときにかぎってジッパーがついてない、編み上げブーツだったことに我ながら憤りつつも、モノレールがあったりして、乗り換えにはお菓子を買う時間があるくらいの余裕で間に合う♪ 外を見ると、雪かきの後が山になってる。うーん、先日Baltimoreの空港が豪雪で一時閉鎖になったというし、やっぱ降るんだねぇ〜、などとのんきに考えていた。定刻が近づき、いよいよ出発! 飛行機が滑走路へ移動しだした…と思ったのに止まってしまったぞ。そこへ機長のアナウンス。

「吹雪で離陸許可が出ないので、もうちょっと待ってね〜」(意訳。実際はこんなのんきじゃない)

 …ま、仕方がない。何しろ窓の外は、強い雨がもはやみぞれに変わっているのだ。

 それにしても、待てど暮らせど飛行機動く気配まったくナシ! 隣の男性客が結構イライラしてるぞー。天候が良くなる気配もないし、このままではWashington到着が遅れるぞ。ってことは、Baltimoreにも間に合うかどうか微妙だぞ! 私も内心冷汗出てきた。

 結局、停止から1時間ほどたったところへ「あと5分ほどで出発する」とアナウンスが。

 え〜!でも、まだ雪降ってるよ? …と思ってたら、ぐいーんと加速して、飛行機、飛び立ってしまいました!

 い、いいのかー?! だいじょぶかー??!
 でも、ぐんぐん上昇したその先は、明るい空が広がっていました。そう、雲の上なら、雪は関係ないんだね(^^;;。

 結局、定刻より40分遅れでNational Airportに到着。急いでるときにかぎってなかなか荷物が出てこないものだけど、まったく出てこないよりははるかにマシ。地下鉄を使おうと思ってたけど、B&Bは地下鉄の駅から徒歩15分ほどの距離。ここはタクシーで直行だわ!

 Washington,DCのタクシーはゾーン制だけど、空港からダウンタウンへは特別料金で、だいたい15ドルくらいかかる。予約してあったB&Bへは、ほぼその料金で到着。

 急いでチェックインして鍵をもらい、荷物を持ち直して地下鉄の駅へGO!

 WashingtonからBaltimoreへは、Union StationからAmtrakの電車に乗るか、Greyhoundのバスに乗るかを考えていた。まずは地下鉄と駅がつながってるUnion Stationへ。時間を調べたものの、ショー開始に間に合う電車はすでに行ってしまっていた。となると、あとはバス。急いでバスターミナルへ向かわねば!

 Washington,DCのガイドブックやクチコミ情報では、Union Stationから北東は治安がよくないので、その方角にあるバスターミナルへ行くには明るいうちに一本道をまっすぐ歩くか、暗くなったらタクシーを使うこと、と書いてある。よって、日が暮れてるのでタクシーで移動。…が、近すぎて不満なのかタクシーの運転手、途中で若いカップルに声をかけ、乗せた。カップルと運転手の間では「え、いいの? 同じ方向なの?」「いいから」みたいな会話が交わされていたが、相乗りもまた、こちらでは普通にあることらしい。5分もしないうちにバスターミナルに到着。中に入ると、チケット売り場はすごい行列! いや、しかし、今更Amtrakに乗るよりは早く着くはず。Baltimoreの会場はバスターミナルのすぐ近くでもあることだし。

 割とコンスタントに列は進み、やっと自分の番がきて、チケット購入。乗り場に向かうも、これまたすごい人・人・人!

 Baltimoreが終点ではないからだったんだけど、Baltimoreで降りる人は2台のうち、すいてるほうに乗せられた。

 バスは、Torontoで乗ったGO-Busよりは少し古かったかも(^^;
 でも、日も暮れた街にはちょっとしたクリスマス飾りの灯りがそこかしこに残ってて(こちらでは12月いっぱい飾っておくものらしいです)バスの古さは気にもならなかったな。(基本的に乗り物大好き!)

 1時間ほど乗って、開始予定時間にバスターミナルに到着。小走りに会場へ向かう。が、チケットが窓口渡しだったので、すぐには中に入れず、受け取りのために少し先の入り口へ回ることに。

 「早く早く、もう始まってるわよ!」と、入り口の女性警備員さんは荷物チェックもせず快く中に入れてくれた。ありがとう〜! たしかに、Openingとおぼしき音楽が聞こえるよー! うわーん!! 次の曲に移るタイミングを見計らって席へ移動。列のいちばん端、しかも中央通路のすぐ前だったのは、不幸中の幸いか。あまり他人の邪魔にはならずにすんだかも。

 ショーについては別ページを御覧くださいませ。

 ショー休憩時間。この少しまえから、激烈に胃が痛む。くーわー!!!

 悶絶、七転八倒…といきたいところだが、人前でぶざまな姿は見せられない。薬を飲んで少し落着いたところで、ACT 2開始。

 ショーが終了し、さて、どうやって帰ったものか。

 もともとAmtrakで往復するつもりだったし、帰りはそれで行くことも考えたけど、それこそAmtrakの駅まで目の前を走る路面電車で行かなくてはならなくて、しかも行ったところでAmtrakのチケットは持ってないし、間に合うのか乗れるのかもわからない。

  …仕方ない、またバスだ。ターミナルへ行くと、1時間後までバスはなかった。

 でも、もう移動するのが辛かったので、日本に電話するなどして時間をつぶした。最初から初日はBaltimore公演も鑑賞することにしていれば、直接Baltimore入りして1泊する方法もあったなぁと今頃になって考えながら、さっきまで見てたショーの中身を反芻(^^;;今更考えてもしょうがないし。

 ところで、外国人が日本の電車に乗って何が驚くって、居眠りしてる人の多さに驚くんだとか、聞いたことがある。
 乗り物に乗ると眠くなる性質の私でも、今まで外国の電車で寝たことはなかった。
 なのに。疲れもあってか時々気が遠くなるのが自分でもわかって、こわかった〜。なんとかWashingtonのバスターミナルに到着したときは、ホッとしたものでした。外の景色の記憶がほとんどないとこみると、やっぱ少しは寝てしまっていたのか?(爆)

 さーて、日本で調べたところによれば、これで外に出ると、タクシーが何台も待ってると聞いたけど、どうかな…あ、あれ?ない? 1台も?? いや、1台とまってるけど、運転手がいないぞ(爆)。バスターミナル外の道路に目を向けると1台のタクシー。が、それは別の人がつかまえて、走り出してしまった。

 ど、どうする〜!? もう身体も限界だぞ。タクシーを呼ぶにしても、イマイチよくわからないし、バスターミナルは相変わらず人でごったがえしている。窓口はそれどころではない雰囲気。

 …ここで、私は暴挙に出た。ガイドブックには「夜歩くのは危険」とある地帯だけれど、ここからUnion Stationまで歩くぞ!

 もう1分でもじっとしていられない。だったら、Union Stationまで歩く! タクシーもここより止まってる可能性高いだろう。

  一本道を歩くけど、本当に何もない。線路のある壁と反対側は入り口の見えないビルの裏側。見通し悪くはないけど、誰も歩いてない。トンネルの中のような黄色い街灯がこうこうと照るだけ。女ひとりで夜中に歩いてるとクラクションを鳴らしてくるのも中にはいる。どうする? 今ならまだバスターミナルに戻れるぞ? やっぱりタクシー呼んでもらって待ってるほうがいいのか?
 …と降りかえってみた視線の先に、3〜4歳の子どもの手をひいた若い黒人の母親が。「駅はこっちかしら?」と聞いてくるではないか! 「こっちのはずですけど〜」などと言いつつ、正直、ほっとしていた。道連れができるなんて思いもしなかった。10分も歩くと駅に到着。親子に別れを告げ、無事にタクシーに乗ったときは脱力寸前!

 …とそこへ運転手「中国人?日本人?」と話しかけてくる。「ワシントンにはいつ来たんだ?」

 ああ、“話し好きの運転手”だ〜〜〜! よりによってこんな調子のときに〜。

 Washington,DCのタクシー情報としてもうひとつ聞いていたのが、「日本人はボラれ易い」ということ。さて、どうする? そこに、窓にゾーン料金のステッカーが貼ってあるのが目に入ってきた。よし、ここからB&Bまでは2ゾーン料金のはず。何かあってもこれがあれば抗議できる。
「日本人ですよー。」と答えると、「ワシントンはどうだ?」という。『今日の夕方着いてすぐボルチモアに行って戻ったばかりなのでよくわからない』というのが実態なんだけど、そこはそれ、「とってもいいところですよね〜」と適当に答える(^^;

 「そうだろう? オレはもう20年もいるんだよ」とのこと。どこだったか南米のご出身だそうで。「Good-byeは日本語でなんでいうんだ?」「さようなら」「Sa-o-ya-ya?」「違う違う、さ・よ・う・な・ら!」などと日本語教室をやってるうちに、B&Bに到着。請求されたのはきっかり2ゾーン分の料金。しかも覚えたての日本語で「サヨなら〜」ときたもんだ! ボラれるかも、と内心疑ったりしてごめんよ〜。外国人向けのネタだったのかもしれないけど、気分よく来れて具合も落着いてきたので、ちょっと多めにチップつけてしまいました。

 とにかく、たまたま無事だったからいいようなものの!

 絶対に! みなさん、私のまねはしないでくださいね!!!

 …ま、誰もしないか…。

 部屋に入ってからは力の入らない身体を温めるべくお風呂へ。浴室には猫足のバスタブにシャワーカーテンがかかり、金色のシャワーヘッドが受話器のように置いてある。オイルヒーターでほどよく温められた室内で疲れを流した後、キングサイズのベッドに沈む…。
 あ〜、長い一日だった〜!


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